正規分布の母平均の検定手順(母分散既知,Z検定)

[記事公開日]2016/09/13[最終更新日]2017/04/04 [カテゴリー]仮説検定 Written by  IMIN

ここでは、正規分布の母平均に関する仮説検定において、母分散\(σ^2\)が既知の場合どのように行うのか(Z検定とも呼ばれる)について解説していきます。そもそも仮説検定が分からないという方は、仮説検定とは?初心者にも分かりやすく解説をご覧ください。

 

当ページでは、標本\(x_1,x_2,...x_n\)が互いに独立に正規分布\(N(μ,σ^2)\)に従うことを仮定します。

また、この検定では下記を既知な値とします。

・母分散 \(σ^2\)
・帰無仮説による母平均 \(μ_0\)
・標本平均 \(\bar{x}\)
・標本数 \(n\)

 
 

両側検定の場合

帰無仮説\(H_0\): \(μ = μ_0\)
対立仮説\(H_1\): \(μ ≠ μ_0\)

はじめに標準化を行います。今回は母平均に関する仮説検定を行うので、検定統計量としては、標本平均\(\bar{x}\)を使います。帰無仮説\(H_0\)の下で\(\bar{x}\)~\(N(μ_0,\frac{σ^2}{n})\)となるので、

$$ z =  \frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}} ~N(0,1) $$ 

と標準化します。

これを有意水準5%での検定だとしましょう。標準正規分布表によると P(|z|≧1.96) = 0.05 です。よって、zの絶対値である|z|が1.96より大きいとき帰無仮説\(H_0\)を棄却します。

有意水準1%での検定だとするとどうなるでしょうか。これまた、標準正規分布表から、P(|z|≧2.58) = 0.01となることが分かるので、zの絶対値である|z|が2.58より大きいとき帰無仮説\(H_0\)を棄却します。

まとめると、標本平均\(\bar{x}\)に関して次のように棄却域が得られます。

有意水準5%ならば   \(|\bar{x}-μ_0|≧1.96\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

有意水準1%ならば   \(|\bar{x}-μ_0|≧2.58\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

つまり、\(\bar{x}\)が上記の式を満たしているとき、帰無仮説\(H_0\)を棄却するということです。

両側検定棄却域

片側検定の場合

帰無仮説\(H_0\): \(μ = μ_0\)
対立仮説\(H_1\): \(μ > μ_0\) または \(H_1\): \(μ < μ_0\)

片側検定では対立仮説は2通り書けます。どちらも手順は同じなので、以下 \(μ > μ_0\)の場合についてのみ解説します。

両側検定と同じく標準化を行い、帰無仮説\(H_0\)の下で

$$ z =  \frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}} ~N(0,1) $$ 

となります。

もし、対立仮説の方が正しければ、検定統計量\(\bar{x}\)は帰無仮説の場合よりも大きな値を取る確率が高くなります。つまり、棄却域は帰無仮説の下で、\(\bar{x}\)が大きな値を取る確率が有意水準αとなるように定めます。

標準正規分布zに対して、標準正規分布表から、P(z≧1.645) = 0.05、P(z≧2.33) = 0.01であることから棄却域は、

有意水準5%ならば   \(\bar{x}-μ_0≧1.645\frac{σ}{\sqrt{n}}\)       

有意水準1%ならば   \(\bar{x}-μ_0≧2.33\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

となります。

片側検定棄却域

例題

例題

A高校の入学試験は毎年6000人の人が受験する。過去の入試の結果は平均400点、標準偏差120の正規分布に従う。今年の入学試験も例年同様6000人の人が受験し、採点官の田中さんの採点分45人の平均点は\(\bar{x}\)=440点、標準偏差は\(\hat{σ}\) = 90であった。この結果から志願者のレベルは向上していると言えるだろうか。有意水準5%、1%それぞれで検定した結果を答えよ。

解説

この問題では、母標準偏差120が与えられている。よって正規分布の母分散既知の場合の検定が適用できる。はじめに、二つの仮説を立てる。検証したいのは、学力の向上なので、片側対立仮説を採用する。今回の入試結果の母平均\(μ\)について

帰無仮説\(H_0\): \(μ = 400\)(母平均は過去の入試と変わらず400点)
対立仮説\(H_1\): \(μ > 400\)(母平均は過去の入試の400点より高い)

が今回の検定で用いられる仮説となる。

次に標準化を行う。\(H_0\)の下で、

\begin{eqnarray}z &=& \frac{\bar{x}-μ_0}{\frac{σ}{\sqrt{n}}} ~N(0,1) \\\\&=& \frac{440-400}{\frac{120}{\sqrt{45}}} ~N(0,1) \\\\&≒& 2.236\end{eqnarray}

となる。標準正規分布表より、

有意水準5%のとき   \(\bar{x}-μ_0≧1.645\frac{σ}{\sqrt{n}}\)       

有意水準1%のとき   \(\bar{x}-μ_0≧2.33\frac{σ}{\sqrt{n}}\)

が棄却域となるので、\(H_0\)は有意水準5%で棄却されるが、有意水準1%では棄却されない。

答えは、

有意水準5%で仮説検定したとき、志願者の学力レベルは向上したと言える。
有意水準1%で仮説検定したとき、志願者の学力レベルは向上したと言えない。

となる。

まとめ

今回は、母分散が”既知”の場合の正規分布に従う検定について解説しました。これが、仮説検定の中で最も基本的な手法となります。しかし実際の場面では、母分散は”未知”の場合が多くなります。その場合は、t分布というものを使ってt検定と呼ばれるものを行います。これについては、別ページにて紹介いたしますのでそちらも読んでいただけたら幸いです。→t検定とは?種類と手順を解説!

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