2017/06/25
2020/04/14
片側検定と両側検定の違いをわかりやすく解説
仮説検定には、片側検定、両側検定とがあります。同一の有意水準を使った場合でも、どちらの検定を用いるかで、棄却域が変わってきます。今回は、それぞれがどのような場面で使うのかについて見ていきましょう。
仮説検定については、仮説検定とは?初心者にもわかりやすく解説!で初心者向けにまとめてあります!
また、棄却域については仮説検定における棄却域とは?求め方も解説で解説していますので合わせてお読みください。
片側検定(one sided test)とは?
片側対立仮説に対する、仮説検定を片側検定といいます。
例えば、帰無仮説\(μ=0\)に対して、\(μ<0\)や\(μ>0\)を片側対立仮説とよびます。この対立仮説を用いた検定が片側検定です。
正規分布やt分布を用いた検定の場合、棄却域は以下のようになります。
両側検定(two sided test)とは?
両側対立仮説に対する、仮説検定を両側検定といいます。
例えば、帰無仮説\(μ=0\)に対して、\(μ≠0\)を両側対立仮説といいます。この対立仮説を用いた検定が両側検定です。
正規分布やt分布を用いた検定の場合、棄却域は以下のようになります。
では、理解をより深めるために具体例を見てみましょう。
具体例~ダイエット薬に効果はあるのか~
下記のような例だと、片側・両側どちらの検定手法がふさわしいのでしょうか?
新しいダイエット薬を作った。その薬の効果を確かめるために、10人に薬を処方し、以下のように体重の変化を表にまとめた。果たしてこの薬に効果はあると言えるのか?
この問題の場合、処方前と処方後の体重の差がもっとも着目するべきポイントです。よって、体重の変化の平均値について考え、それが0なのかどうかについて考えます。
そうすると、帰無仮説\(H_0\)は、体重の変化量(差)の母平均\(μ\)を用いて、
\(H_0\):\(μ=0\)(ダイエット薬に効果はない。体重の変化は0。)
と書けます。
これに対して対立仮説は、3通り考えられます。
その1\(H_1\):\(μ≠0\)(ダイエット薬には何らかの効果がある)←両側対立仮説
その2\(H_1\):\(μ<0\)(ダイエット薬には、体重減少の効果がある)←片側対立仮説
その3\(H_1\):\(μ>0\)(ダイエット薬には、体重増加の効果がある)←片側対立仮説
\(μ≠0\)の場合これは、両側対立仮説となりますが、\(μ<0\),\(μ>0\)の場合、これは片方のみを示しているので片側対立仮説となります。
今回の例では、ダイエット薬の効果を確かめたいので、通常はその2の対立仮説を使って、片側検定を行います。
しかし、「ダイエット薬の何らかの効果(増加を含めた逆効果)を確かめたい」場合にはその1を使います。
そして、むしろ薬のせいで太った可能性があると感じたなら、「ダイエット薬が逆効果であると証明」するために、その3の対立仮説を採用します。
つまり、片側検定か両側検定かは、問題によって決まります。どちらの検定が自然であるかによって決まるものであり、厳密な基準があるわけではありません。
仮説検定の目的に応じて、臨機応変に変わっていくものだということです。
ちなみに、片側検定なのか両側検定を行うかは、必ず検定の前に決めておく必要があります。例えば、検定統計量の値を見てから、「こっちの検定にしよう」、と決めたり、「両側検定で有意にならなかったので、片側検定に変える」などしてはいけません。
それは、どちらの検定にするかは、仮説検定の目的によって決まることであり、それは検定後に変わるものではないからです。
R言語で計算(おまけ)
ちなみに、今回のダイエット薬の例を統計ソフトRでt検定するプログラムは次のようになります。t検定とは→t検定とは?種類と手順を解説!
change <- c(1.1,-1,-1.5,-8.5,0.9,1.2,5.9,-5.4,-7.3,-2.3)
t.test(change, mu=0) #両側検定
t.test(change, mu=0, alternative=”greater”) #片側検定(体重増加)
t.test(change, mu=0, alternative=”less”) #片側検定(体重減少)
COMMENT
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山本 悦子 2018.1.2 12:56 PM
統計学を初めて、学んでいます。
素人です。無理な点もあるかもしれませんが、
「具体例~ダイエット薬に効果はあるのか~」の例での
データを用いて、ダイエット効果があるかないか?
を検証する時には
エクセルではどんな方法がありますか教えてもらえませんか
お願いします。 -
IMIN 2018.1.3 3:19 PM
コメントありがとうございます。
一標本に対して、t検定を用いて、母平均が0であるかどうかを検定するという手法が考えられます。
エクセルの場合は、TTESTを用いて、今回の体重変化の標本と全ての要素が0の標本に対する2標本検定を用いる手法があります。これをR言語でやる場合は、以下のプログラムで検定が可能です。
change <- c(1.1,-1,-1.5,-8.5,0.9,1.2,5.9,-5.4,-7.3,-2.3) t.test(change, mu=0) #両側検定 t.test(change, mu=0, alternative="greater") #片側検定(体重増加) t.test(change, mu=0, alternative="less") #片側検定(体重減少)
山本 悦子 2018.1.2 12:56 PM
統計学を初めて、学んでいます。
素人です。無理な点もあるかもしれませんが、
「具体例~ダイエット薬に効果はあるのか~」の例での
データを用いて、ダイエット効果があるかないか?
を検証する時には
エクセルではどんな方法がありますか
教えてもらえませんか
お願いします。
IMIN 2018.1.3 3:19 PM
コメントありがとうございます。
一標本に対して、t検定を用いて、母平均が0であるかどうかを検定するという手法が考えられます。
エクセルの場合は、TTESTを用いて、今回の体重変化の標本と全ての要素が0の標本に対する2標本検定を用いる手法があります。
これをR言語でやる場合は、以下のプログラムで検定が可能です。
change <- c(1.1,-1,-1.5,-8.5,0.9,1.2,5.9,-5.4,-7.3,-2.3) t.test(change, mu=0) #両側検定 t.test(change, mu=0, alternative="greater") #片側検定(体重増加) t.test(change, mu=0, alternative="less") #片側検定(体重減少)