超幾何分布の確率密度関数からの期待値と分散の導出

[記事公開日]2017/08/30 [カテゴリー]超幾何分布 Written by  HKRN

当ページでは超幾何分布の確率密度関数から、その期待値と分散の導出を行なっております。式だけではなく、丁寧に解説を加えることで、導出の過程を出来るだけ分かりやすくまとめました。

Š確率密度関数\(p(x) = \displaystyle \begin{cases} \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)} & (x = 0, 1, 2, \cdots , n) \\ 0 & (else) \end{cases} \)
期待値(平均)\(E(X) = \displaystyle n \frac{k}{N} \)
•分散\(V(X) = \displaystyle \frac{nk(N-k)(N-n)}{N^2 (N-1)} \)
 
 

超幾何分布とは

超幾何分布とは、確率変数\(X\)が以下のようなパラメータ\(N\)、\(k\)、\(n\)の確率密度関数\(p(x)\)をもつ時に従う分布のことを指します。

具体例として、箱の中に\(N\)個のボールがあるとします。その内、\(k\)個が赤いボールであり、\(N-k\)個が青いボールとします。このとき、赤いボールの個数を\(X\)とおくと、この\(X\)が従う分布が超幾何分布であり、以下のような確率密度関数\(p(x)\)となります。

 
 
超幾何分布の確率密度関数
 

\(p(x) = \displaystyle \begin{cases} \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)} & (x = 0, 1, 2, \cdots , n) \\ 0 & (else) \end{cases} \)

ここに、\(N, n\)は正の整数であり、\(k\)は非負の整数です。また、\(N \ge k, N \ge n\)という条件が与えられています。

また、\(x\)のとりうる値の範囲は

\(x = \displaystyle \begin{cases} 0 & (n \ge N-k) \\ n-(N-k) & (n<N-k) \\ n & (n<k) \\ k & (n \ge k) \end{cases} \)

となります。つまり、\(\max (0, n-(N-k)) \leq x \leq \min (n, k) \)となります。

期待値の導出

まずは超幾何分布に従う確率変数\(X\)の期待値を求めます。超幾何分布は離散型の確率分布ですから、期待値の定義(離散型確率変数の場合)から

\(\begin{eqnarray*} E(X) &=& \displaystyle \sum_{x=0}^n x p(x) \\ &=& \displaystyle \sum_{x=0}^n x \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)} \end{eqnarray*}\)

となります。ここで、\(x = 0\)の時、\(E(X)\)の値は\(0\)となることから、\(x = 1\)から\(n\)までの総和として考えてもよいものとなります。さらに

\(\begin{eqnarray*} \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right)}{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)}  &=& \displaystyle  \frac{\frac{k!}{x!(k-x)!}}{\frac{N!}{n!(N-n)!}} \\  &=& \displaystyle n \frac{k}{N} \times \frac{\frac{(k-1)!}{(x-1)! \{ (k-1)-(x-1) \} ! }}{\frac{(N-1)!}{(n-1)! \{ (N-1)-(n-1) \} ! }} \end{eqnarray*}\)

と表せることから

\(E(X) = \displaystyle n \frac{k}{N} \sum_{x=1}^n \frac{\left( \begin{array}{c} k-1 \\ x-1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N-1 \\ n-1 \end{array} \right) } \)

となります。

ここで\(\frac{\left( \begin{array}{c} k-1 \\ x-1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N-1 \\ n-1 \end{array} \right) } \)は、パラメータが\(N-1\)、\(k-1\)、\(n-1\)の超幾何分布の密度関数の形と一致しています。上式ではこの確率密度関数について、とりうる値において全て足しあわせており、その値は1となります。(これは、ある事象における全ての確率を足すと1になることと同義です。)

したがって、以下の形に求まります。

\(E(X) = \displaystyle n \frac{k}{N} \)

分散の導出

次に、超幾何分布に従う\(X\)の分散を求めます。はじめに 分散の性質より

\(\begin{eqnarray*} V(X) &=& \displaystyle E(X^2) -E(X)^2 \\ &=& \displaystyle E(X(X-1)) + E(X) - E(X)^2 \end{eqnarray*}\)

と表せます。上式はモーメントの考え方を用いて求める分散の式です。(証明については、「例題で理解する分散の意味と求め方 」をご参照ください。)

ここからは\(E(X(X-1))\)を求めます。こちらについても、上記の期待値の定義から次のように求まります。

\(\begin{eqnarray*} E(X(X-1)) &=& \displaystyle \sum_{x=0}^n x(x-1) p(x) \\ &=& \displaystyle \sum_{x=0}^n x(x-1) \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)} \\ &=& \displaystyle n \frac{k}{N} \sum_{x=1}^n x(x-1) \frac{\left( \begin{array}{c} k-1 \\ x-1 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N-1 \\ n-1 \end{array} \right)}  \\ &=& \displaystyle n(n-1) \frac{k(k-1)}{N(N-1)} \sum_{x=2}^n x(x-2) \frac{\left( \begin{array}{c} k-2 \\ x-2 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N-2 \\ n-2 \end{array} \right)}  \\ &=& \displaystyle n(n-1) \frac{k(k-1)}{N(N-1)} \end{eqnarray*}\)

2行目から3行目の式展開については先程と同じく、\(x = 0\)の時、値は0をとりますので、\(x = 1\)から\(n\)までの総和として考えるものとしました。3行目から4行目の変形についても同様の理由です。さらに4行目ではパラメータが\(N-2\)、\(k-2\)、\(n-2\)の超幾何分布の密度関数の総和をとっていますので、その値は1となります。よって、\(E(X(X-1))\)の値は\(n(n-1) \frac{k(k-1)}{N(N-1)}\)となることが言えます。

したがって、上記の値を\(V(X)\)に代入すると

\(\begin{eqnarray*} V(X) &=& \displaystyle E(X(X-1)) + E(X) - E(X)^2 \\ &=& \displaystyle n(n-1) \frac{k(k-1)}{N(N-1)} + n \frac{k}{N} - n^2 \frac{k^2}{N^2} \\ &=& \displaystyle \frac{nk(N-k)(N-n)}{N^2 (N-1)} \end{eqnarray*}\)

となります。

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