幾何分布とは?期待値と分散の導出も解説

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幾何分布とは(geometric distribution)

幾何分布とは、成功確率ppベルヌーイ試行を、初めて成功するまで繰り返した時の試行回数xxの確率分布です。

幾何分布の公式

幾何分布の確率関数や期待値・分散の公式は以下となります。

確率関数

f(x)=p(1p)x1f(x)=p(1-p)^{x-1} ただし、x=1,2,x=1,2,\dotsb

期待値

E[x]=1pE[x]=\frac{1}{p}

分散

V[x]=1pp2V[x]=\frac{1-p}{p^2}

幾何分布の期待値の導出

E[x]=x=1xp(1p)x1=px=1x(1p)x1E[x]=\sum_{x=1}^\infty xp(1-p)^{x-1}=p\sum_{x=1}^\infty x(1-p)^{x-1}

ここからは\sum から先について求めていきます。ここで11x\frac{1}{1-x}のマクローリン展開を考えると、

11x=1+x+x2+=k=0xk\frac{1}{1-x}=1+x+x^2+\cdots=\sum_{k=0}^{\infty} x^k

これを両辺xxで微分すると、

1(1x)2=k=1kxk1\frac{1}{(1-x)^2}=\sum_{k=1}^\infty kx^{k-1}

ここで上の式にx=1p,k=xx=1-p,k=xを代入すると右辺は、

x=1x(1p)x1\sum_{x=1}^\infty x(1-p)^{x-1}

となって最初の式の\sum以降の式と一致します。

よって、期待値は

E[x]=p×1(1(1p))2=1pE[x]=p\times \frac{1}{(1-(1-p))^2}=\frac{1}{p}

幾何分布の分散の導出

次に分散を求めます。

分散を求めるにはV[x]=E[x2]E[x]2V[x]=E[x^2]-{E[x]}^2を利用します。

先ほど求めた、

1(1x)2=k=1kxk1\frac{1}{(1-x)^2}=\sum_{k=1}^\infty kx^{k-1}

この式をもう一度微分すると、

2(1x)3=k=2k(k1)xk2\frac{2}{(1-x)^3}=\sum_{k=2}^\infty k(k-1)x^{k-2}

この式に両辺xxをかけて、先ほどのようにx=1p,k=xx=1-p,k=xを代入すると、

x(x1)(1p)x1=2(1p)p3\sum x(x-1)(1-p)^{x-1}=\frac{2(1-p)}{p^3}

よって、階乗モーメントE[x(x1)]E[x(x-1)]は,

E[x(x1)]=px(x1)(1p)x1=2(1p)p2E[x(x-1)]=p\sum x(x-1)(1-p)^{x-1}=\frac{2(1-p)}{p^2}

したがって、分散は

V[x]=E[x2]E[x]2=E[x(x1)]+E[x]E[x]2=2(1p)p2+1p1p2=1pp2V[x]=E[x^2]-{E[x]}^2=E[x(x-1)]+E[x]-{E[x]}^2=\frac{2(1-p)}{p^2}+\frac{1}{p}-\frac{1}{p^2}=\frac{1-p}{p^2}

カテゴリ: 幾何分布