記述統計学と推計統計学

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この記事では、記述統計学と推計統計学の違いに着目しつつ、それぞれの特徴について解説します。

記述統計学とは

記述統計学は、「あるデータに対して、そのデータの特徴をより分かりやすく表現する」ということを行います。

「○○の平均」は記述統計学の一種

テストの平均点やクラスの平均身長などは記述統計学を使っています。

例としてテストの成績をAクラスとBクラスで比較したい場合を考えます。
Aクラス、Bクラスそれぞれ30名ずつ所属していた場合に、60名分のテストの点数を並べるだけでは比較ができません。

そこで「平均点」という指標を導入します。
「Aクラスの生徒の平均点」と「Bクラスの生徒の平均点」を算出することで、「AクラスよりもBクラスの方が出来がよかった」というような比較ができるようになります。

このように「あるデータに対して、そのデータの特徴をより分かりやすく表現する」ということが記述統計学の目的になります。

データをグラフや表にすることも記述統計学

「データの特徴を分かりやすくする」という意味では、グラフや表を作成してデータの特徴を可視化することも、記述統計学に分類されます。

記述統計学の限界

データの表現手法として有用な記述統計学ですが、その一方で「目の前にデータがないと分析できない」という限界もあります。具体例を見てみましょう。

ケース1:日本人全体の平均年収を算出したい
このケースを記述統計学で解決する場合、全国民にアンケート調査をし、年収を回答してもらう必要がありますが、現実的ではありません。

ケース2:模試の結果から入試の点数を推測したい
入試の点数という未来のデータは取得できないので、記述統計学では推測できません。

以上の例のように、記述統計学は「目の前にないデータは分析・推測できない」のです。

これ克服するのが、「推計統計学」です。

推計統計学とは

推計統計学とは、限られた標本から調査したい母集団全体の特徴を推測するという学問です。別名、推測統計学、推計学などとも言います。
この推計統計学が登場した後、記述統計学は古典統計学と称されるようになりました。

推計統計学の考え方

推計統計学では、集められたデータ(標本)から全体のデータ(母集団)を推測しようとします。
これにより「標本から標本の特徴を表現することはできても標本から母集団を推測することができない」という記述統計学の限界を克服しました。

標本と母集団についてさらに詳しく知りたい方はこちら

推計統計学(標本と母集団)

推計統計学の種類

推計統計学は大きく分けて、「統計的推定」と「仮説検定」に分類されます。

統計的推定
標本の特徴から母集団の性質を推測すること。点推定や区間推定という推定手法がある。

仮説検定
とある仮説に対して、それが正しいのか否かを統計学的に検証する」という推計統計学の手法。

まとめ

いかがでしたでしょうか。専門性の高い内容は避けながらの説明になりましたが、記述統計学と推計統計学の違いを認識いただけたかと思います。
さらに具体的な内容を知りたい方は、関連記事をご覧ください。

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カテゴリ: 統計学の基礎