指数分布とは

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指数分布とは(Exponential distribution)

指数分布は、時間の間隔など非負の確率変数を表現する確率分布のひとつです。

ある事象が起こるまでの経過時間を表現するのに適しています。

指数分布の特徴

指数分布には以下の特徴があります。

特徴1:単峰性

指数分布は単峰性であり、確率密度関数はゼロに向かって単調に減少します。

特徴2:無記憶性

将来の事象発生までの時間がその過去の経過によらないという特徴があります。指数分布はこのような無記憶性を持つ唯一の連続型確率分布です。

特徴3:パラメータによる形状調整

指数分布のグラフは、パラメータλλによって形状を調整できます。λλの値が大きいほど事象発生までの待ち時間の平均が短くなるという特徴があります。

特徴4:確率の合計が1になる

指数分布の確率密度関数は非負であるので、全ての時間の間に事象が発生する確率の合計は1になります。

指数分布の確率密度関数

指数分布の確率密度関数は次のように表されます。

f(x;λ)=λeλxf(x;λ) = λe^{-λx}

このときxxは非負の実数、λλは正のパラメータです。

指数分布とガンマ分布の確率密度関数の関係

ガンマ分布の確率密度関数は、次のように表されます。

f(x)=xk1exθΓ(k)θkf(x)=\frac{x^{k-1}\mathrm{e}^{-\frac{x}{\theta}}}{\Gamma(k)\theta^{k}}

ガンマ分布のパラメータk=1k=1およびθ=1/λθ=1/λの場合、指数分布と一致することが知られています。

指数分布の積率母関数

指数分布の積率母関数は次のように表されます。

MX(t)=λλtM_{X}(t)=\frac{\lambda}{\lambda-t}

積率母関数の導出は「積率母関数を用いた指数分布の期待値・分散の導出」をご確認ください。

指数分布の期待値・分散

指数分布の期待値・分散は次のように表されます。

期待値

E(X)=1λE(X)=\frac{1}{λ}

分散

V(X)=1λ2V(X)=\frac{1}{λ^2}

期待値・分散の導出は以下ページをご確認ください。

積率母関数を用いた指数分布の期待値・分散の導出

確率密度関数を用いた指数分布の期待値・分散の導出

指数分布とポアソン分布の関係

ポアソン分布と指数分布には密接な関係があります。

指数分布はある事象が起こるまでの時間に対する分布ですが、ポアソン分布は単位時間内に事象が起こる確率を表しています。

ポアソン分布を利用する具体例は、次のようなものがあります。

・1日にメールを受信する数

・深夜1時間に緊急治療室に運ばれてくる患者の数

単位時間あたりに事象が起こる回数は平均λ\lambdaポアソン分布に従いますが、それらの事象の発生間隔は平均1λ\frac{1}{\lambda}指数分布に従います。

これはλ\lambdaが大きくなる、すなわちイベントが起こる平均回数が大きくなると、イベントの間隔が狭くなるということです。

つまり、指数分布とポアソン分布の違いは、事象を時間で見る回数で見るかの違いということになります。

カテゴリ: 指数分布

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