代表的な確率分布一覧

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この記事では、代表的な確率分布の積率母関数、確率関数、期待値、分散を一覧にしました。

正規分布

公式

積率母関数

eμt+σ2t22{\mathrm{e}}^{\mu t+\frac{{\sigma}^{2}t^2}{2}}

確率密度関数

f(x)=12πσ2exp[(xμ)22σ2]f(x) = \frac{1}{\sqrt{2πσ^2}}\exp{[-\frac{(x-μ)^2}{2σ^2}]}

期待値

E(X)=μE(X)=μ

分散

V(X)=σ2V(X)=σ^2

グラフの形

正規分布

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確率密度関数を用いた正規分布の期待値(平均)と分散の導出

積率母関数を用いた正規分布の期待値(平均)と分散の導出

連続一様分布

公式

積率母関数

etbetat(ba)\frac{{\mathrm{e}^{tb}}-{\mathrm{e}^{ta}}}{t(b-a)}

確率密度関数

f(x)={1ba(axb)0(otherwise) f(x) = \left\{ \begin{array}{ll} \frac{1}{b - a} & (a \leq x \leq b) \\ 0 & (\text{otherwise}) \end{array} \right.

期待値

E(X)=12(a+b)E(X)=\frac{1}{2}(a+b)

分散

V(X)=112(ba)2V(X)=\frac{1}{12}(b-a)^2

グラフの形

連続一様分布

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確率密度関数を用いた連続一様分布の期待値(平均)と分散の導出

指数分布

公式

積率母関数

MX(t)=λλtM_{X}(t)=\frac{\lambda}{\lambda-t}

確率密度関数

f(X;λ)=λeλxf(X;λ) = λe^{-λx}

期待値

E(X)=1λE(X)=\frac{1}{λ}

分散

V(X)=1λ2V(X)=\frac{1}{λ^2}

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積率母関数を用いた指数分布の期待値・分散の導出

確率密度関数を用いた指数分布の期待値・分散の導出

ガンマ分布

一言で説明

ガンマ分布は非負の連続確率分布であり、パラメータkkθθを持ちます。

公式

積率母関数

MX(t)=(11θt)kM_{X}(t)={(\frac{1}{1- \theta t})}^{k}

確率密度関数

f(x)=xk1exθΓ(k)θkf(x)=\frac{x^{k-1}\mathrm{e}^{-\frac{x}{\theta}}}{\Gamma(k)\theta^{k}}

期待値

E(X)=kθE(X)=k\theta

分散

V(X)=kθ2V(X)=k{\theta}^{2}

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ガンマ分布とは

積率母関数を用いたガンマ分布の期待値・分散の導出

確率密度関数を用いたガンマ分布の期待値・分散の導出

ベータ分布

一言で説明

ベータ分布は、ααββの2つのパラメータによって特徴づけられる分布です。

公式

確率密度関数

f(x)=xα1(1x)β1B(α,β)f(x)=\frac{x^{{\alpha}-1} {(1-x)}^{{\beta}-1}}{B({\alpha},{\beta})}

期待値

E(X)=αα+βE(X)=\frac{\alpha}{{\alpha}+{\beta}}

分散

V(X)=αβ(α+β)2(α+β+1)V(X)=\frac{{\alpha}{\beta}}{{({\alpha}+{\beta})}^2({\alpha}+{\beta}+1)}

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ディリクレ分布

一言で説明

ディリクレ分布とは、ベータ分布を多変量に拡張した分布です。

公式

確率密度関数

f(x1,x2,...,xn1)=Γ(i=1nαi)Γ(α1)...Γ(αn)x1α11x2α21...xnαn1f(x_{1}, x_{2}, ..., x_{n-1}) = \frac{\Gamma(\sum_{i=1}^{n} \alpha_{i} )}{\Gamma(\alpha_{1})...\Gamma(\alpha_{n})} x_{1}^{\alpha_{1} - 1} x_{2}^{\alpha_{2} - 1} ... x_{n}^{\alpha_{n} - 1}

ただし、i=1nxi=1\sum_{i=1}^{n} x_{i} = 1とし、x1,...,xn0x_{1}, ..., x_{n} \geq 0とする。

期待値

E(Xi)=αii=1nαi (i=1,...,n1)E(X_{i}) = \frac{\alpha_{i}}{\sum_{i=1}^{n} \alpha_{i}}  (i = 1, ..., n-1)

分散

V(Xi)=αi(i=1nαiαi)(i=1nαi)2(i=1nαi+1)(i=1,...,n1)V(X_{i}) = \frac{\alpha_{i}(\sum_{i=1}^{n} \alpha_{i} - \alpha_{i})}{(\sum_{i=1}^{n} \alpha_{i})^2 (\sum_{i=1}^{n} \alpha_{i} + 1)} (i = 1, ..., n-1)

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カイ二乗分布

一言で説明

確率変数Z1,Z2,...,ZnZ_1,Z_2,...,Z_nが互いに独立であり、それぞれが標準正規分布N(0,1)N(0,1)に従うとき、

χ2=Z12+Z22+,...,+Zk2χ^2 = Z^2_1 + Z^2_2 +,...,+Z^2_k

χ2χ^2に従う分布を、自由度kk(足される標準正規分布の数)のカイ二乗分布と言います。

公式

積率母関数

MX(t)=(112t)k2M_{X}(t)={(\frac{1}{1- 2 t})}^{\frac{k}{2}}

確率密度関数(自由度k)

f(x)=xk21ex22k2Γ(k2)f(x)=\frac{x^{{\frac{k}{2}}-1} \mathrm{e}^{-\frac{x}{2}}}{2^{\frac{k}{2}} \Gamma(\frac{k}{2})}

期待値

E(x)=kE(x)=k

分散

V(x)=2kV(x)=2k

グラフの形

カイ二乗分布のグラフ

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積率母関数を用いたカイ二乗分布の期待値と分散の導出

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t分布

一言で説明

確率変数ZZが標準正規分布N(0,1)N(0,1)、確率変数WWが自由度nnカイ二乗分布に従うとき、

t=ZWnt = \frac{Z}{\sqrt{\frac{W}{n}}}

と表されるttが従う分布を、t分布といいます。

公式

確率密度関数

f(x)=Γ(ν+12)νπΓ(ν2)(1+x2ν)(ν+12)f(x)=\frac{\Gamma(\frac{ν+1}{2})}{\sqrt{ν\pi}{\Gamma(\frac{ν}{2})}}{(1+\frac{x^2}{ν})}^{-(\frac{ν+1}{2})}

期待値

E(X)=0E(X)=0

分散

V(X)={(1<γ2)γγ2(γ>2)V(X) = \left\{ \begin{array}{ll}\infty & (1\lt\gamma \leq2) \\ \frac{\gamma}{\gamma-2} & (\gamma\gt2)\end{array} \right.

グラフの形

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t分布とは

片側t分布表と見方

確率密度関数を用いたt分布の期待値の導出

F分布

一言で説明

F分布とは、XXYYが互いに独立である確率変数X,YX, Yについて、XXが自由度nnのカイ二乗分布、確率変数YYが自由度mmのカイ二乗分布に従うとき、F=XnYmF = \frac{\frac{X}{n}}{\frac{Y}{m}} と表されるFFが従う確率分布です。

グラフの形

F分布のグラフ

公式

確率密度関数

f(z)=(nm)n2B(n2,m2)zn21(1+nmz)n+m2f(z) = \frac{(\frac{n}{m})^{\frac{n}{2}}}{B(\frac{n}{2}, \frac{m}{2})} \frac{z^{\frac{n}{2}-1}}{(1+\frac{n}{m}z)^{-\frac{n+m}{2}}}

期待値

E(Z)=mm2E(Z) = \frac{m}{m-2}

分散

V(Z)=2m2(n+m2)n(m2)2(m4)V(Z) = \frac{2m^{2}(n+m-2)}{n(m-2)^2 (m-4)}

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F分布とは

F分布の確率密度関数をカイ二乗分布を用いて導出

カイ二乗分布を用いたF分布の期待値と分散の導出

確率密度関数を用いたF分布の期待値と分散の導出

離散一様分布

公式

積率母関数

MX(t)=etN1etN1etM_X(t)=\frac{\mathrm{e}^t}{N}\frac{1-\mathrm{e}^{tN}}{1-\mathrm{e}^t}

確率質量関数

f(x)=1Nf(x) = \frac{1}{N}

期待値

E(X)=N+12E(X)=\frac{N+1}{2}

分散

V(X)=N2112V(X)=\frac{N^2-1}{12}

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ベルヌーイ分布

一言で説明

ベルヌーイ分布とは、ベルヌーイ試行の結果を0と1で表した確率分布です。

公式

確率質量関数

f(k;p)=pk(1p)(1k)f(k;p)=p^k(1-p)^{(1-k)}

期待値

E(X)=pE(X)=p

分散

V(X)=p(1p)V(X)=p(1-p)

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確率密度関数を用いたベルヌーイ分布の期待値(平均)と分散の導出

二項分布

一言で説明

二項分布とは、互いに独立した成功確率ppベルヌーイ試行nn回行ったときに、ある事象が何回起こるかについての確率分布です。

公式

積率母関数

MX(t)=(etp+1p)nM_{X}(t)={(\mathrm{e}^tp+1-p)}^n

確率質量関数

P(X=k)=(nk)pk(1p)nkP(X=k)=\begin{pmatrix}n \\ k\end{pmatrix} p^{k}{(1-p)}^{n-k}

期待値

E(X)=npE(X)=np

分散

V(X)=np(1p)V(X)=np(1-p)

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多項分布

一言で説明

多項分布とは、二項分布を一般化した確率分布です。

公式

確率密度関数

f(x1,x2,...,xk)=n!x1!x2!...xk!p1x1 p2x2... pkxk (xi0,x1+...+xk=n)f(x_{1}, x_{2}, ..., x_{k}) = \displaystyle \frac{n!}{x_{1}! x_{2}! ... x_{k}!} p_{1}^{x_{1}} p_{2}^{x_{2}} ... p_{k}^{x_{k}}  (x_{i} \geq 0, x_{1} + ... + x_{k} = n)

ただし、nnは整数であり、pi>0(i=1,2,...,k),p1+p2+...+pk=1p_{i}\gt0 (i = 1, 2, ..., k), p_{1} + p_{2} + ... + p_{k} = 1

期待値

E(Xi)=npi  (i=1,...,k)E(X_{i}) = np_{i} ~~ (i = 1, ..., k)

分散

V(Xi)=npi(1pi)  (i=1,...,k)V(X_{i}) = np_{i}(1 - p_{i}) ~~ (i = 1, ..., k)

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ポアソン分布

一言で説明

ポアソン分布とは、二項分布B(n,p)B(n,p)において、期待値np=λnp=λを固定し、試行回数nnと成功確率ppをそれぞれnn→∞p0p→0としたときに得られる確率分布です。

公式

積率母関数

MX(t)=eλ(et1)M_{X}(t)=\mathrm{e}^{λ(\mathrm{e}^{t}-1)}

確率質量関数

P(X=k)=λkeλk!P(X=k)=\frac{λ^k \mathrm{e}^{-λ}}{k!}

期待値

E(X)=λE(X)=λ

分散

V(X)=λV(X)=λ

グラフの形

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積率母関数を用いたポアソン分布の期待値と分散の導出

確率質量関数を用いたポアソン分布の期待値と分散の導出

幾何分布

一言で説明

幾何分布とは、成功確率ppベルヌーイ試行を、初めて成功するまで繰り返した時の試行回数xxの確率分布です。

公式

積率母関数

pet1(1p)et\frac{pe^t}{1-(1-p)e^t}

確率関数

f(x)=p(1p)x1f(x)=p(1-p)^{x-1} ただし、x=1,2,x=1,2,\dotsb

期待値

E[x]=1pE[x]=\frac{1}{p}

分散

V[x]=1pp2V[x]=\frac{1-p}{p^2}

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超幾何分布

一言で説明

超幾何分布とは、以下のような事象があったとき、XXが従う確率分布です。

超幾何分布の例

箱の中にkk個の赤いボール、NkN-k個の青いボール、計NN個のボールがある。

箱の中からnn個のボールを取り出したとき、その中に含まれる赤いボールの個数をXX個とする。

公式

確率密度関数

p(x)={(kx)(Nknx)(Nn)(x=0,1,2,,n)0(else)p(x) = \displaystyle \begin{cases} \frac{\left( \begin{array}{c} k \\ x \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} N-k \\ n-x \end{array} \right) }{\left( \begin{array}{c} N \\ n \end{array} \right)} & (x = 0, 1, 2, \cdots , n) \\ 0 & (else) \end{cases}

期待値

E(X)=nkNE(X) = \displaystyle n \frac{k}{N}

分散

V(X)=nk(Nk)(Nn)N2(N1)V(X) = \displaystyle \frac{nk(N-k)(N-n)}{N^2 (N-1)}

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カテゴリ: 統計学の基礎

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