フレーム問題とは?~医療ロボット開発の課題を例として~

 2019/02/26    人工知能    

フレーム問題とは?

現在起きているAIブームは第3次AIブームといわれています。そもそも初めにAIという概念を提唱した人はアランチューリングというイギリスの学者で第二次世界大戦中にドイツの通信暗号「エニグマ」を解いたことでも有名な人です。彼の人生は映画「イミテーションゲーム」にて詳しく紹介されています。その後1958年に神経活動を数式モデル化し、コンピュータに処理させる初歩的なニューラル・ネットワークが発表され第1次AIブームが訪れました。これによりAI研究が大きく盛り上がったのですがここで問題となったのがフレーム問題です。まず我々人間の情報処理について解説したいと思います。
実は人間は日々の生活を生きているだけで様々な問題を解決しています。
例えばキャッチボールについて考えてみます。まずボールを取るときには眼からボールの軌道の情報を予測し脳に伝え、それによって導き出されたボールの軌道上にグローブを微調整して位置を決めたあと、タイミングを見計らってボールをキャッチする準備をして構えます。ボールは飛んでいる間に風やボール自体の回転によって絶え間なく運動の方向を変えるのでその情報を逐次グローブをもつ手に伝え、動かさねばなりません。この情報を逐次入れながら初動に修正を加える事をフィードバック制御といいます。ましてや実際の野球のなかでは投げたり打ったり走ったり物凄い量の情報を処理しています。ただ人間は経験や勘に従って、あらゆる状況を無限に考えられるので野球を楽しむことが出来るのです。
つまり今しようとしていることに関係のある事柄だけを選び出すことが、実は非常に難しいのです。
ロボットは、関係ないことばかり考えてしまいます。

AIはこのように動くことは出来ません。AIは問題形式を定式化し、設定されたフレームの中でしか問題が解けないのです。1969年にジョンマッカーシーとパトリックヘイズが論文にて指摘したこれをフレーム問題といいます

フレーム問題をわかりやすく解説したダニエルデネットの例

ではこの問題について例を用いて説明していきます。以下のような問題を考えてみましょう。

洞窟の中にロボットを動かすバッテリーがあり、バッテリーの上には時限爆弾があります。放置すれば爆発によりバッテリーが壊れロボットも動かなくなってしまう状況を仮定します。ここでロボットに「洞窟からバッテリーをとってこい」と指示をします。

1号機は洞窟に入ってバッテリーを取ることに成功しました!しかしバッテリー上の爆弾に気が付かず爆弾も運び出したために爆発してしまいました。

今度はこの問題が起こらないように改良した2号機にも同じ指示を出しました、そうすると2号機はバッテリーの前で「動かしたら爆発してしまわないか?」「天井が落ちてくるのではないか?」「壁の色は変わらないか?」など、様々な副次効果を考えすぎたために時間切れで爆発してしまいました。これは1984年にダニエルデネットにより示された思考実験です。みなさんに同じ指示をしたら爆弾ごと持って行くことも壁の色に迷って爆発に巻き込まれて死ぬことも無いですよね?つまりAIには今しようとしていることに関係のある事柄だけを選び出すことが、実は非常に難しいのです。

 

優秀な名医のAIは実現可能?

目の奥にある網膜の映像を解析して緑内障の有無を調べるAI診断機が実用化されようとしてます。このままAIが発達したら万能な医者AIが出来上がるのでしょうか?

上の機械のように決められた病気の診断にはとても有用である研究はたくさんあります。他の例として内視鏡データから胃がんを画像診断するAIが人間の医師に劣らない診断能を獲得したという発表もあります。しかし病院に来院した人すべての生体データを入力していままでになかった新しい病気を探してくれとAIに指示をしてもフレーム問題があるので実現はなかなか難しいと思われます。

まとめ

いかがでしたか?今回の例で言うとAIは万能ではなく適切な問題を設定しないと現実の問題を解くのは難しいため、医師が解くべき問題としてひとつの病気を定め、網膜の画像データを与えることで緑内障という病気についての問題を解かせることが出来るようになったことがわかっていただけたのではないでしょうか?すべての病気を見分け治療法を見つける名医のようなAIの登場はすくなくともフレーム問題を乗り越えないと現れないでしょう。

  • イベント情報

    0529-イベント
  • 関連コンテンツ

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA